在日韓国人の方が亡くなった後に、韓国領事館で戸籍謄本(除籍謄本)を取って相続人が誰であるのかを確定してみたら、会ったこともない親族や疎遠になっている親族が相続人となっていたということがあります。
日本側の相続人は、韓国側の相続人が、韓国のどこに住んでいるのか、住所も電話番号もわかりません。
亡くなられた方(被相続人)が、戦前あるいは戦後間もなく韓国から日本に渡って来られた在日1世である場合、亡くなられた方の子(2世)、孫(3世)の代になると、韓国にいる親族とのつながりが薄くなり、交流もなくなり連絡を取ることができない場合が多々あります。それは、韓国と日本という距離的な問題、韓国語がわからないという言葉の問題が影響しています。
そのように、つながりがほとんど、あるいは全くなく、どこにいるのかわからない韓国の親族が相続人となっている場合には、どのようにして相続の手続きをすすめていけばよいでしょうか?
なぜ、このようなことが問題となるかといいますと、亡くなられた方(被相続人)が生前持っておられた財産を残された子どもさんなどの相続人で分け合ったり、一人の物にするため登記の名義を変更するためには、「この財産は、だれだれが相続する。」などと書く書類(これを遺産分割協議書といいます。)を作成し、相続人全員が承諾したことを証明するため、これに相続人全員のサインと実印を押す必要があります。
それなのに、相続人のうち一人でも韓国にいて、どこにいるのかがわからない場合、遺産分割協議書にサインと実印を押してもらうことができず、相続の手続きがそこで止まってしまうからです。
このような場合に、相続の手続きをすすめる方法として、
まず、第一に、韓国の弁護士に依頼して韓国の家庭裁判所(家庭法院)に遺産分割の裁判を起こしてもらうという方法があります。
この方法なら、裁判所によって韓国のどこにいるかわからない相続人に通知をしてもらえるので、手続きをすすめていくことができます。
しかし、日本から韓国に出向いていく必要があったり、韓国の弁護士に依頼するなど、大きな労力がかかりますし、経済的にも大きな負担が必要となります。
結論として、日本の家庭裁判所に、韓国のどこにいるかわからず音信不通の相続人に代わって前述の遺産分割協議書にサインと押印をしてくれる不在者財産管理人をたててもらい相続の手続きをすすめていくのが、労力的にも経済的にも負担が軽くすむ方法です。
不在者財産管理人を家庭裁判所にたててもらうためには、いくつかの条件があります。
当事務所は、このような内容の案件の経験があります。
提携している弁護士と連携して、相続の手続きをすすめていくことができます。
相続人が韓国にいるが、どこにいるかわからない、連絡がとれないということでお困りの方は、お気軽に当事務所にご相談ください。