今回は、帰化や相続の手続きの際に必要な韓国の戸籍(除籍謄本)や、家族関係登録事項別証明書(基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書)は、誰が取ることができるのかについて説明したいと思います。
家族関係登録について規定している韓国の法律である「家族関係の登録等に関する法律」第14条1項及によりますと、「本人又は配偶者、直系血族、兄弟姉妹」は、証明書の交付を請求することができると規定していました。
「規定していました。」と書きましたのは、先日2016年6月30日に、前のブログでも書きました通り、韓国憲法裁判所で違憲判決が出たからです。この違憲判決により前述の法14条1項の「兄弟姉妹」という部分が無効となりました。
よって、原則として、その証明書等に記載されている本人の兄弟姉妹は、原則としては本人の同意なしに証明書等を取ることができなくなりました。
もっとも、除籍謄本の場合は、同じ戸籍の中に兄弟姉妹として載っているのであるなら、その謄本は兄弟姉妹は自分の本人としての資格により取ることができるでしょう。
また、兄弟姉妹であっても、「債権・債務の相続に関連して相続人の範囲を確認するために・・・必要」である場合は、本人の委任なく証明書等を取ることができます(家族関係登録例規278号)。この場合は、これを疎明する資料と、申請人の身分証を添付しなければいけません。
次に、「本人又は、配偶者、直系血族」から委任を受けた代理人も請求することができます。
ここで注意しなければいけないのは、外国人(韓国から見て外国人である日本人、その他の外国人)は、原則として証明書等の交付を請求することができないということです(例規278号)。ただし、行政書士の場合、韓国大使館領事部と行政書士会連合会が協議を重ねた結果、韓国籍を有しない行政書士も代理申請が行えるようになりました。
また、本人又は配偶者、直系血族、兄弟姉妹が帰化していた場合はどうなるのかというと、本人及び本人の直系血族は、証明書等の交付を請求することができます。この場合、帰化した事実と帰化前の韓国名の記載がある日本の戸籍謄本の原本とご自身の身分証明書が必要となります。
まとめ
日本の韓国大使館領事部、総領事館、領事館で、韓国の証明書等が取れる人は、
(例 本人Aの証明書等を取るばあい)
本人 A
その配偶者 B
直系血族 AB間の子 CDE 孫C'D'
兄弟姉妹(FGH)は、「債権・債務の相続に関連して相続人の範囲を確認するために・・・必要」であることを疎明できた場合、
代理人としては
委任状をもらった韓国籍の人、韓国籍の行政書士等他の資格者
委任状をもらった日本国籍や他の国籍の行政書士等他の資格者
であると考えれらます。