帰化や相続に必要な韓国の戸籍謄本(除籍謄本)には、何が書かれているのでしょうか?

 

 その前にふれておきたいことがあるのですが、現在、韓国には「戸籍」と呼ばれるものはありません。2005年に民法改正により、戸主制度と家制度が廃止され、2008年以降、家族関係登録法施行に伴い、戸籍制度に代わる新たな身分登録制度として家族関係登録制度が始まりました。

 もっとも、2008年より前の身分関係の情報は、旧来の戸籍に記載されています。ですから、帰化の手続きや相続手続きの際には、家族関係登録事項別証明書とともに、2008年以前の戸籍謄本(除籍謄本)の取得も必要となります。

 

 さて、具体的に、韓国の戸籍謄本には何が書かれているのでしょうか?

除籍謄本には、まず、1ページ目に表紙が付いています。そこには、本籍地と戸主の姓名、コンピュータにデータを入力した年月日、とその理由、訂正自由などが載っています。

 ここから、韓国の戸籍を古いものから順にたどっていくとともに、その時代の独特の記載されていた事項を見てみたいと思います。

 

古い縦書きの戸籍

 

 韓国の戸籍謄本で一番古いものは、日本支配時代のもので、そのため、日本語(漢字とカタカナ)で縦書きで書かれています。手書きでかかれています。

 

 「本籍」欄がありますが、そこには、本籍地だけではなく、「農業」など、戸主の職業まで書かれています。「戸主となった原因」や戸主の両親の姓名、性別や生年月日が書かれています。もっとも、職業まで書かれていたのは一番古い戸籍だけで、少し新しくなると書かれていません。

 

 また、「」の欄があり、そこにはそれぞれの人の本貫が記載されています。「本貫」とは、それぞれの人の韓国姓のルーツを表すものです。例えば、韓国で一番多い「金」姓にも、いろいろな本貫があり、金海金氏や慶州金氏、安東金氏など他にもいろいろいらっしゃいます。

 ちなみに、私の「康」は谷山康氏です。韓国では済州島に多いです。

 

 そして、それぞれの家族の欄には、戸主との関係が記載されている項目があります。例えば、「母」、「妻」、・・・「甥」などが書かれています。

 

 「事由」の欄には、出生から死亡までの発生事由が書かれています。

 この中でも、特に目を引くのが二重線で訂正されている部分が多いことです。

「氏設定により昭和拾六年五月弐拾壱日訂正す」などど書かれた部分が二重線で消されたり、修正液か何かで消されています。創氏改名です。下部の姓名欄も二重線で消して日本風の名前に変わっています。

 韓国の歴史を実際に垣間見ることができて、たいへん興味深いですが、翻訳するときは、ただでさえ昔の人の手書きでクセがあって読みにくいのに、さらにかすれて読みにくくなったりして苦労することもあります。

 そして、その後に「朝鮮姓名復旧令により姓復旧」と書かれています。

 

 また、明治、大正、昭和という日本の年号が二重線などで削除されて「檀紀四千二百○○年」と書かれていたりします。

 檀紀というのは、古代朝鮮を建国したという檀君が生まれてからの年数を元号としたものです。

 また、それも、現代になって「西紀」(西暦)に訂正されています。

 

 横書き戸籍の登場

 

 1970年代ころから、横書きの戸籍が登場します。

 もとの手書きの縦書き戸籍が古くなって品質を維持できなくなりそうなので、新しく書き換える際に横書きにしたものもありますし、最初から横書きで新しく編成したものもあります。

 ここで新しく登場する項目として、「住民登録番号」というものがあります。住民登録番号とは、国民一人一人に番号を付けて身分情報を国が管理するための制度で現在も韓国にあります。日本のマイナンバー制度の先を行っていたものです。

 通常、韓国独立前から日本に居住していた人や、韓国独立後(日本から見ると終戦直後)まもなく日本に来た人や日本で生まれた人には住民登録番号は付けられていません。パスポートの住民登録番号欄に同じ数字が並んでいる場合がそうです。

 しかし、日本で生まれて韓国で生活したことがないのに、どういうわけか、住民登録番号が付いている人もいます。

 

 このタイプの戸籍は、すべて韓国語で書かれています。漢字も使われている場合もあります。手書きで書かれているものが多いですが、タイプライターで打ったものもあります。

 

横書き電子化戸籍

 すべて、コンピュータのフォントで書かれているので、とても読みやすいです。日本の現在の戸籍と同じように、出生、婚姻、死亡など、明確に項目べつに発生事由が書かれています。

 

 このように、韓国の戸籍に書かれている事柄は、その時々の韓国の時代背景や、技術の発展を反映したものであり、興味深いものがあります。

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