韓国の戸籍制度について.
1. 戸籍制度から家族関係登録制度へ
韓国に戸籍制度が一番最初にできたのは、中央集権形態の古代国家が形成された時代でした。
もっとも、現代のように個人の身分関係を登録・公示するという目的の戸籍制度ができたのは、20世紀の始めごろでした。
現代になって、現行民法時代の戸籍は、戸主を基準とし、家別に編成する家族別登録方式を採用し、個人の身分関係を統一的・組織的に把握することができるという長所を有していました。その反面、戸主制度・家制度を存続させる温床であるとの批判を受けてきました。また、直接必要のない親族の個人情報まで漏れてしまうのでプライバシーの侵害が生じうるという短所もありました。
そのような経過を経て、2005年に戸主制度に対する韓国憲法裁判所による違憲判決とその後の民法改正により戸主制度の幕が閉じることになり、戸籍制度も見直されることになりました。
戸主制度廃止のための民法改正が議論され、大勢は個人別(一人一籍)編成方式へと傾きました。
そのようにして、2008年1月から戸主制度を廃止する改正民法の施行と合わせ、既存の戸籍法に代わる家族関係登録法の施行により、新たな形態の身分登録制度である家族関係登録制度が誕生することになりました。
日本支配時代から、2008年の戸籍制度廃止にいたるまで、日本の戸籍謄本とよく似た「戸籍謄本」がありました。
しかし、2008年の家族関係登録制度開始からは、韓国には「戸籍謄本」というものはなく、それらは「除籍謄本」と呼ばれることになりました。