私は、ときどき、映画館に韓国映画を見に行きます。
よく行くのは、心斎橋のビッグステップにあるシネマートです。この映画館は、韓国で話題になった映画やヒットした映画で、日本の一般の映画館で上映しない作品をよく上映してくれるので好きです。
今回、見に行った映画は「あなた、その川を渡らないで」という作品です。
監督は、チン・モヨン氏、韓国語の原題は、「님아,그강을건너지마오」です。
注:少しネタバレがあります!
ドキュメンタリー映画なので、俳優さんが出てきて演技する映画ではありません。韓国のとある田舎の美しい小さな村に住む実在の98歳のハラボジ(おじいさん)と89歳のハルモニ(おばあさん)のご夫婦が主人公です。
映画では、お二人の日常の生活の様子が写し出されています。
お二人にとっては、ただの日常の風景なのかもしれませんが、それを見る側からは、お二人がお互いに愛情をもっている様子が見えます。
おばあさんが、せっかくほうきで集めた落ち葉を、おじいさんがつかんで、おばあさんの方へ投げて、「あんた、何をするの。やめなさい。」と言いながら、投げ返して、お互いに投げ合ったり、
二人で、雪合戦をしていたり、子どものように、ふざけあったりする様子が、微笑ましかったです。
どこへ行くのも、おそろいの服を着て手をつないで行きます。
おじいさんとおばあさんの間には、12人の子どもがいましたが、6人は生まれてすぐに亡くなったり、幼いうちに亡くなってしまいました。
その亡くなった子どもたちのために、近くの町の中にある服屋さんに行って毎年、子ども用のパジャマを買ってきます。
そして、それを家の中のカマドで焼きます。「天国で、あの子たちが着ることができますように。」と。。。
亡くなった子どもたちが生まれたとき、貧しくて服を買ってあげられなかったのが辛かったそうです。
おじいさんは、「私が死んだら、あの子たちに服を持って行ってあげられるよ。」
そして、おじいさんの体調がだんだん悪くなってきて、夜中にも咳がひどくなってきます。そして、おばあさんも、おじいさんの死期が近いことを悟ります。
おばあさんは、「おじいさんが、天国に行って着る服がなかったらいけないから。」と、カマドでおじいさんの普段着を燃やします。
結局、おじいさんは撮影中に亡くなりました。
おばあさんは、おじいさんが最後に着ていた服を燃やしました。
おじいさんのお墓の前で、おばあさんはずっと泣いていました。
「私は、おじいさんがこの世で一番好きだったよ。」
川のすぐ横のお墓でした。
おじいさんは、その川を渡ったのですね。
おばあさんは、お墓の前を少し離れても、たたずんで泣いていました。
76年もの結婚生活で。たいへんなこともあったことでしょう。
でも、ほんとうに見ていたら何か幸せな気持ちになりました。
最後のシーンでは、泣いてしまいました。
私は、まだ独身で、結婚していませんが、いつか、このおじいさんとおばあさんのように、ともに愛情をもって支えあって生きていくことのできる人といっしょになりたいなと思いました。